物理学・化学・地学
地球温暖化によって、将来、熱塩海洋循環が停滞ないし停止するのではないかと言われている。熱塩海洋循環が停滞すると、何が起きるのか。たんにヨーロッパが寒くなるだけなのか。ヤンガードリアス・イベントの影響を参考に考えて見たい。
アンデルセンの童話に『マッチ売りの少女』という話がある。あの物語に出てくる少女がなぜ死んだかをめぐって、物理学者たちが、10年にわたって熱い論争を繰り広げたことがあった。はたして、少女は、エネルギーが足りなくて死んだのか、それともエントロピーが増大して死んだのか。
この宇宙には、なぜ私たち人間のような理性的な存在者がいるのだろうか。人間は偶然この世に現れたのか、それとも現れるべくして現れたのか。人間が存在しない世界は可能だったのか。
教育ママが、子供の勉強部屋のドアを開けたところ、子供は、机に向かって勉強していたとしよう。猜疑心の強いママなら、「もしかすると、うちの子は、私が見張りに来た時だけ勉強するふりをして、ドアが閉められると、遊んだり怠けたりしているのではないかしら」と心配するかもしれないが、「ドアが閉められると、うちの子は、勉強していて、かつ勉強していないという矛盾した存在になる」と空想するママはいない。物理学者には、そうした想像をする人々がいる。もっとも、自分の子供に関してではない。目に見えない小さな粒子についてであるが。
自然科学における複雑系ブームのおかげで、あるいは社会学におけるルーマンのブームのおかげで、複雑性概念はポピュラーになった。しかし、多くの研究者は、複雑性とは何かに関して、漠然とした考えしか持っていない。複雑性と複合性の区別を通して、複雑性を厳密に定義したい。
もし、物理学が嫌いなら、「エントロピーとは、不確定性、乱雑さ、無秩序の度合いである」という程度の理解でよい。しかし、もともとエントロピーは、クラウジウスが1865年に導入した熱力学的概念なので、正確にエントロピー概念を理解するためには、熱力学における本来の意味を理解する必要がある。そこからわかることは、一見私たちの感覚を超越した抽象的な概念と思われるエントロピーが、実は私たちの感覚の本性に忠実な概念であるということである。
複雑系という言葉が、ジャーナリスティックな流行語となったのは、1992年にミッチェル・ワールドロップの『複雑系』(Complexity: The Emerging Science at the Edge of Order and Chaos)が出版されてからであり、それはちょうど、ソ連が崩壊し、世界が新たな時代を迎えようとする時だった。なぜ複雑系が流行したのか、その時代背景を探りたい。
なぜ景気は循環するのかに関して、専門の経済学者たちの間でいまだに定説がない。そこで、この問題を経済学の内部で解決しようとせずに、もっと宇宙規模で考察してみよう。景気循環を太陽系のバイオリズムとみなし、文明の興亡をも説明する包括的な理論の可能性が生まれてくる。
近代工業を育ててきた石油や石炭は有限な資源であるから、いつかは枯渇すると考えられている。また石油や石炭の燃焼は、さまざまな公害の原因となっている。こうしたことから、オイルショック以来、先進国は、石油や石炭の代わりとなるクリーンなエネルギー資源を模索している。一般にはそれほど注目されていないが、私は、最も理想的な代替エネルギー資源はメタンだと考えている。メタンのどこが優れているのか、原子力発電、太陽発電、風力発電、水力発電など他の候補と比較しながら、説明していきたい。
最もよく耳にする環境問題の一つに、温室効果ガスによって惹き起こされる地球温暖化がある。もっとも多くの人は、それが自分たちにどのような悪影響を及ぼすのかわかっていない。
「環境に優しい」と自称する企業が、「わが社は、ごみを一切出さないゼロエミッションリサイクルを実現している」と宣伝するのを耳にすることがある。しかし、厳密に言うならば、ゼロエミッションのリサイクルなどは物理的に不可能である。物理的に可能で環境保全になる循環型社会とはどのようなものかを考えよう。
複雑系を扱った本は、必ずと言って良いぐらい、カオスとフラクタルに言及しているが、はたしてフラクタルはカオスと同様にすべて複雑系であると言ってよいのであろうか。
複雑系を理解するには、複雑と系(システム)という二つの概念を理解しなければならない。システムについては「システムとは何か」で主題的に取り上げたので、ここでは複雑さについて説明し、複雑系とは何かを明らかにしたい。
カオスは日本語の混沌に相当する。しかし、カオスはたんなる無秩序ではない。カオスとは何か。非線形で非決定論的であるにもかかわらず、なぜカオスは不可知論を帰結しないのかを考えよう。
熱力学には二つの基本法則がある。熱力学第一法則は「エネルギーは保存される」、第二法則は「孤立したシステムにおけるエントロピーは減少しない」というものである。熱力学第二法則を、熱力学の範囲を超えて拡張してみよう。
システムという言葉は、ギリシャ語の「結合する」という意味の語に由来する。だからシステムは、常識的には、結合された要素のまとまりとして定義されている。この定義は、システム/要素関係を全体/部分関係と同一視しているわけだが、システムは部分から合成された全体ではないし、ましてや全体と部分との空間的な包摂関係ではない。では、システムの本質はどこにあるのか













